プレスラー/庄司紗矢香 duo


レーベル:ドイツ・グラモフォン
発売元:ユニバーサルミュージック合同会社

評判の高かったこの二人の3年ほど前のデュオリサイタル、残念ながらその際は視聴する機会がありませんでした。しかし、先日幸運にもNHK BSでの放送で視聴することができました。

Brahms Vn. Sonata #1「雨の歌」ほか
Vn.庄司紗矢香、Pf.メレヘム・プレスラー

聴いてみてすぐにこの二人の演奏が格別なモノであることが判りました。その理由は簡単で、Vn.が主役でPf.が伴奏という普段聴くVn.ソナタの演奏スタイルとは全く異なったからです。二人は史上最高傑作ともいわれるこの名曲を『Chamber music (室内楽曲)』として共演するのです。

その演奏の構図は、プレスラー氏(Pf.)が音楽の造形を形造り、その上に庄司紗矢香さんのVn.が寄り添い揺れているかのようです。プレスラー氏が主導しているのかと思えばそうでもなく、アインザッツは必ず庄司紗矢香さんの弓を見て合わせます。Vn.ソナタ演奏でPf.演奏者がこれ程Vn.演奏者に合わせる様子を見た事がありません。トリオ奏者出身のプレスラー氏の面目躍如です。

確かに演奏の前に流された二人の対話のビデオでプレスラー氏はこう語っていました。曲はVn.とPf.の見事な対話から成ると言い、

「私(Pf.)が雨で、紗矢香(Vn.)がその中で唄っているのです」

まさにその通りの演奏でした。

隣で尊敬する師の発言をうなづいて聞いている庄司紗矢香さんの穏やかな表情も印象的なものでした。

「先生がそうおっしゃるのなら(そうだと思いますよ)」同意を求めるプレスラー氏へはただただ幸せそうにこう応えてみせました。。。

その庄司紗矢香さんは、いつものことですがVn.演奏の佳境では目を閉じ、静かに少し口を開け閉じして呼吸するような仕草を見せます。演奏の途中で大気に沸き溢れる音楽の神ミューズの乳を啜っているような、、、私はいつもそんなことを感じます。天賦の才の証しなのでしょう。

そう言えば、プレスラー氏も同じく演奏の佳境で口を開け閉じしていますね。二人はミューズに愛でられ音楽の満悦をともに呼吸しているのかもしれません。

そして圧巻は第3楽章。「雨の歌」として知られるこの曲のモチーフである雨だれのひと粒ひと粒を慈しむような強弱でPf. が奏でると、Vn.がそのひと粒ひと粒に応えていきます。先生の繰り出す課題へ応える生徒さんの微笑ましい発表会のようです。そしてそのVn.の出来栄えはご本人が満足いくものだったのでしょう。演奏が終わりプレスラー氏からの賞賛に本当に嬉しそうな表情を見せました。

庄司紗矢香さんの演奏は近年深みを増しているように感じます。ソリストとしての輝かしい成功に加えて、プレスラー氏を師と仰ぎ室内楽曲奏者としての修練を積んで幅を拡げ益々の円熟を迎えようとしているようです。

TV放送の演奏を聴いて最近これほど満足したことはありませんでしたので書き記しました。

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