Nコン2016; 課題曲(2); 今年もpop系課題曲の中学校の部

今年の課題曲もいわゆるpop系合唱曲です。ここ10年ほど、合唱に新風を吹き込もうという狙いでしょう、pop系の音楽人の作曲者起用が続けられています。

ただ総ての年で成功続きとばかりは言えず、pop系課題曲に疑問をさしはさむ意見もあるようです。そういう中で今年はどんな曲なのでしょう。

今年の課題曲を聴いてみました。

■中学校の部 課題曲

混成三部合唱

作詞・作曲 miwa
編曲 佐藤 賢太郎

■pop系合唱課題曲の成功の要件
過去数年にわたるpop系合唱課題曲を聴いてきた印象で、pop系合唱曲での成功の鍵は以下3点だと感じます。

(1)作曲:シングルよりはグループ出身者
(2)編曲:上手な合唱編曲者
(3)演奏:pop/classic各唱法の調和・併用

これら3点は互いに連関していて、最初の二つはWANT、最後の(3)がMUSTですね。全てがMUSTという主張ではありません。

以下はその理由です。
(1)作曲:シングルよりはグループ出身者
合唱曲としての仕上がりを比べると、シングルと略したシンガーソングライターのpop曲は合唱曲としては意外に振るわないのです。同じpop系ならグループ音楽出身者の曲の方が聴きやすい印象です。グループと合唱は相似だからかも知れません。

そしてもう一つ気づくことは、pop曲演奏を輝かせるためにシングルシンガーは、①微妙な声質の変化と②pop唱法の駆使とで曲に命を吹き込むということです。歌手としての生涯をかけた曲への気持ちをこれら二つで体現して見せてくれるわけです。シングルシンガーの曲は旋律・歌詞の魅力とともにそこが尖っていて私たちのこころを鷲づかみにするのです。これが通常のclassic唱法での平板なカバーが失敗に終わる所以です。

何年か前、ある女流シンガーソングライターのpop系合唱課題曲で、「がんばれ、がんばれ」というサビのフレーズで有名になった曲がありました。このサビのフレーズをほとんどの参加校がclassicなユニゾンで斉唱したのです。演奏を聴いてこのpop系合唱曲を聴くことが本当に辛くツマラなかったかったことを今でも思い出します。この時感じた疑問「なぜわざわざ合唱曲にしたのか」が、pop系合唱曲に批判的な見方を招くのだろうと思いました。

(2)編曲:上手な合唱編曲者
そんなpop系曲が合唱で映えるようにするには、上手な合唱編曲者に恵まれることです。
下手な合唱編曲の典型は、無理なユニゾン、リフレイン、ハミングの多用です。pop系曲で編曲の自由度が極端に少ない場合の苦肉の策としてよく見られるのですが、classicの構成技法を無理やり加えてせっかくのpop系曲の良さを矯めて曲を殺してしまう事がよく起こります。(1)でシンガーソングライター曲が失敗しやすいのは合唱編曲者とのコラボ未成熟がもう一つの要因なのかも知れません。

(3)演奏:pop/classic各唱法の併用・調和
先ほどの女流シンガー・ソングライターの曲では、ご本人が演奏したものをYouTube で聞くことができます。合唱のマイナス・イメージを持って聴いたのですが、自作自演の出来栄えはやはり人気の歌手らしく素晴らしいものでした。シンコペーションやしゃくりなどのpopの歌唱法と硬質で微妙な声質が訴えかけてきます。pop系曲の合唱を映えるものにするためのヒントがここにあるようです。

このヒントを明快な形で説き示した例をご紹介します。それは合唱曲の作曲/指揮で有名な松下耕氏のpop系曲の合唱指導動画(YouTube )です。

https://www.youtube.com/watch?v=aAAS6UQb9fc

Nコン(平成18年)の審査結果協議の時間での会場公開レッスンで、「さくら」(作詞:森山直太朗/御徒町凧 作曲:森山直太朗)の混声四部合唱版での歌唱指導です。15分間ほどの短時間でpop唱法の取込みとclassic唱法の併用・調和を仕込む手際が見事です。

■今年の課題曲は成功するか?
miwaの起用で話題の今年の中学校の部の課題曲。上記の(1)(2)はgivenなのでさておくとして、最後の要の(3)の出来映えはどうなるのでしょうか。夏の予選が今から楽しみです。
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