シュミカセ光軸調整; ダンカン・マスク(4)

さて、いよいよ光軸調整です。

当日5月12日の晩は、久々の快晴で夜空の透明度が高く光軸調整に適した夜空に恵まれました。

■光軸の粗調整の実施→完了
先ず最初に、天頂に近い一等星を使いデフォーカス像の同心化調整を行いました。アイピースによる目視です。

主鏡向きの変化の所為でしょうか、初期状態のドーナツ像では意外な偏心が認められたので、ボルト調整による粗調整を念入りに実施しました。

■光軸の微調整の実施→実施できず
続いて回折リングでの調整を試みましたが、デフォーカス像段階で同心円が粒立ちで消されるような状態で、目視では回折リングが確認できず、微調整はできませんでした。いつもの、よくある状況です。当日のシーイングの状態は透明度ほど良くなかったようです。

■ダンカン・マスクでの光軸調整追加
次にダンカン・マスクを装着し、アイピースをセンサーに差替えて、光軸調整をしてみました。以下はアウトフォーカスでのASI224MCの画像です。

(1)コリメート状態かの確認・分析

アウトフォーカスで焦点に追い込んで行くと、3本の棒状の像が真ん中に集まってきます。Yの字に見えますが、右側の像が短かい、あるいは焦点に寄り過ぎているようです。これは静止画ですが実際は激しく揺らめきます。特に右側の像はフレアのように広がったり縮まったりと他の2本と振る舞いが異なります。どうやら右側の像に異常があるようです。

先ほど念入りにデフォーカス像の同心調整をしたばかりですが、やはり目視での粗調整では非コリメート状態、光軸はまだズレていたようです。

(2)異常な像の窓番号の確認


次にマスクの3つの窓を一つづつ塞ぎ、どの像が消えるか見て、ボルト番号との対応を確認します。結果は図に書き込んだ通りで、右側の像は#2ボルトに対応していました。(この確認は最初なので実施しましたが毎回は不要です。アウトフォーカスの場合正立したYの字となり、下部の線が#1でそれから反時計回りに#2(右側)、#3(左側)となります)

調整するのはボルト#2と判りました。推測ですが、ボルト#2を締め過ぎていて像が焦点に寄り過ぎているように見えます。

(3)コリメート完への追込み


そこでボルト#2を試しに10°位緩めて見ました。#2の像はより外側にシフトします。そしてもう少し焦点を追い込んでみたのが上の画像です。大分Yの字に近づきました。もう少し追込めるかもしれません。また、よく見ると回折縞が見えています。
今回はダンカン・マスクでの光軸調整手順と効果の確認を優先し、一旦ここで追込みを止め、ダンカン・マスク適用の効果が反映されるか撮影に移りました。

(4)ダンカン・マスク適用の結果
既にブログに掲載した5月13日、14日の撮影結果は、以上のダンカン・マスク光軸調整後の結果を適用したものです。

追記: 本記事を書いた2016/5月時点では未判明でしたが、いずれの撮影結果も2016/7に判明したC11の副鏡誤回転事故による収差の影響を受けています。

火星 JST; 2016-05-13 02:02:07


土星 JST; 2016-05-13 02:13:33


火星 JST;2016-05-14 00:16:19


■ダンカン・マスク適用価値のまとめ
念入りにデフォーカス像の同心調整をしたのですが、ダンカン・マスクで新たに光軸ずれが見つかり修正できました。(撮影結果の出来栄えは、5/13-14の良好なシーイングに助けられました)

今後もデフォーカス像による光軸粗調整後にダンカン・マスク光軸修正を加えることは有用な方法と思われます。マスク一枚の装着で済み、時間、労力の負担が少ないのも大きなメリットです。

追記
ダンカン・マスクの改善効果の源泉は、目視をセンサーに換えた高感度化であるという見方もできます。今回の試行ではセンサーの設定は惑星撮影と同等の高fpsのままとしましたが、撮影時の平均化にスタック機能を使うなどの工夫の余地がたくさんありそうです。今後さらにサーベイしたいと思います。

やはり光軸調整はシュミカセの「リード病」です。


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No title

このダンカンマスクかなり有効ですね。飲み込みの悪い私でも理屈では分かりました(本当か?)C11に装着のマスク5/17(3)の点印と副鏡に書いてある点印、対面同士になっているのは像が反転するからですか?これについては自分で実際やった方が分かりやすいですね。なるべく光軸ずれない様に扱います。

Re: No title

ジョナサンさん コメントありがとうございます。対面配置はおっしゃる通り主鏡でミラー反転するからです。この配置では#1の窓からの並行入射光は主鏡でミラー反転され#1のボルトが押す副鏡部分に届くわけです。このダンカン・マスクは3本の調整ボルトしかないシュミカセの構造を踏まえた中々合理的なマスクだと思います。
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